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2012年2月19日 (日)

再録・日々これ12分の1 第16回(続・モーターの話)

 今年(01年)の12分の1全日本会場でもある川場RCプラザに行ってきた。もちろん、ただ行ったのではなく12分の1を走らせてきたのだ。前号で予想した通り今年の12分の1はやはり速い。走行用バッテリーが2本減ったくせに2年前の自己ベストと同等のタイムが出てしまった。そのタイムも大会の数か月前からテストと練習を重ねてようやく出したもので、今年は初日からこのタイムと並んでいるということから、4セル&800gのJMRCA新規定は確実に12分の1をスピードアップさせたといえるだろう。しっかしボク自身の体力と視力、反射神経は、この2年間の不摂生と老化(?)により間違いなく落ちてるのに、マシンは速くなるんだモンなあ……。
 さて前回の続きであるモーターの話だが、前号ではモーターには大別して回転型とトルク型の2タイプがある、というところまで話した。ここで話をややこしくするのがその特性だ。いわゆる回転型とは文字通りモーターの最高回転数が高いというものだが、実際には「ゼロから最高回転数に達するまでの時間が短い」という特性も持っている。そのため適切な指数(減速比)で使用してやればマシンの加速性能を高めることができる。
 これに対してトルク型のモーターは全回転域で発生するトルクが太いので、大きめのピニオンギヤで回しても路面や空気の抵抗にモーターの出力がスポイルされにくく、高い指数を活かして最高速を伸ばすことができる。つまり回転型のモーターはテクニカルなコース、トルク型モーターは高速型のコースに適しているということ。こうしたことを考慮してモーターのタイプを選択した後、今度はさらにキメ細かくモーターをセッティングしていくことになる。
 まずは指数(ギヤ比)の選択だが、これに関して特に原則というものはない。ただし、経験的にある程度の基準が自分の中にあるので、モーターの特性とコースの大きさを考慮したうえで適当と思われる数値からテストを開始する。他のヒトのデータも参考にはなるけど、この指数というヤツは、例えターン数が同じであってもモーターの特性や路面コンディション、さらに使用しているバッテリーによって大幅に変化する。
 特にバッテリーの違いは重要で、パワフルなバッテリーを使えばモーターの加速性能が向上するため、大きめのピニオンが選択できる。全日本などの大きな大会では、ワークスドライバーのセッティングデータが公開されることが多いが、この時に注意したいのが、ワークスの使っているバッテリーは、大抵の場合ふつうに市販されているものよりパワフルだということ。つまり、ワークスとまったく同じ指数を採用するとマシンの加速力が鈍くなり、スピードが出ない可能性があるのだ。だからといってワークスドライバーがウソをついてるワケではない。
 ワークスといえば、昨年の12分の1世界戦谷田部大会において某誌スタッフのKはコラリーをドライブした。この時、彼のモーターメンテナンスをコラリーワークスに依頼することになり、英語の不自由な(日本語も時々ヘンだが)Kに代わって、ボクがヤツの要望をメンテナンス担当のダニー氏に伝えることになった。最初にダニー氏から手渡されたモーターは10ターン、指数も彼の指示通りに設定した。このままでも十分に速かったのだが、Kがずうずうしくもさらに注文を追加すると(確かストレートスピードを速くしたいとか、そんなことだったと思う)ダニー氏は進角を強めたモーターを返してきた。「ずいぶん単純なチューンだな?」と思ったものの使ってみるとあらビックリ、メンテナンスに出す前より確実にストレートが速くなり、走行時間もしっかりと確保されていた。これに驚いてダニー氏にチューンの秘密を聞きに行くと、「ただしっかりと組んだだけ」という答え。要するに本当の秘密は教えてくれなかったわけだが、モーターは組み方ひとつでずいぶん性能が変るもんだ、とあらためて実感した次第だ。
 モーターの進角というヤツも結構厄介で、強めれば速くなるが燃費も悪化する。また進角の強いモーターはニュートラル時のブレーキ効果も強いため、コーナーで失速しやすくなる。ということでモーターをセッティングする時には、単に出力特性と走行時間だけでなく、減速性能やマシンのハンドリングも考慮する必要があるのだ。
 ターン数が同じであっても、ローター巻線の違いによってモーター特性は異なってくる。これは良くダブル巻きやトリプル巻きなどと呼ぶもので、ローターに銅線を巻き付ける際に何本の線を同時に巻くかということだ。つまり2本同時ならダブル、3本ではトリプルになる。もちろん1本はシングルで、この時巻き付ける銅線が太いほど、一度に大きな電流を流せるためモーターの特性はパワフルになる。ただしローターに巻ける銅線の太さには限界があるので、多重巻きを採用して巻線の太さにバリエーションを出すというわけ。ちなみにダブルの場合は、線の太さに√2をかけたものがシングルに換算した太さになる。
 12分の1を始めとするダイレクトドライブのマシンでは、マシンに搭載した時のモーターの違いや加速感を極めてリニアに感じことができる。これが12分の1の大きな魅力のひとつであるのは間違いなく、ボクがふだんは12分の1とミニッツレーサーしかやらないのはこのあたりにも理由があるのだろう。

 2001年5月に書いた原稿です。前回に引き続きブラシモーターに関する記事なので、現在ではノウハウとしてあまり価値がないと思います。が、回転型とトルク型の話は基本的に現在にも当てはまるし、当時はこんな感じだったというのを思い出すのにはよいのではないかと。川場の練習で、2年前の6セルとほぼ同等のタイムが出たと書いてありますが、いざ本番になると、天候による路面コンディションの悪化で上位陣のタイムは思いのほか伸び悩みました。その翌年はグリップ向上でえらいことになったけどね。
 僕がふだん12分の1とミニッツしかやらないという状況は、スピードウェイ・パルでのF1が加わったことで少々変化しました。もっともパルのF1も基本的に月イチですが。いずれにせよ、ダイレクトドライブカーばっかりやっているのは変わりません。VRCプロも、気がつくと12分の1しかやってない(笑)。(2012年2月19日・記)

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