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2009年10月28日 (水)

再録・日々これ12分の1 第11回(Tバーの話)

 新車を買ってしまった――もちろん実車ではなく12分の1のこと。ボクはこの数年アソシエイテッド製のRC12Lシリーズをレースで使用してきたのだが、そのマシンのことは1年位前から気になっていた。当然アソシには愛着があり、また特に不満も感じていなかったので、マシンチェンジをするまでには至らなかったのだが、2001年を迎えるにあたって何か変化が欲しくなったので、この機会に新車を購入することにしたのだ。
 実はすでに、新車を使って12月に行われた地元のレースに出場している。この時はセッティングが万全でなかったためレース結果はイマイチに終わったが、マシンの潜在性能には確かな手ごたえを感じた。ということでトリニティ・スイッチブレード君、2001年はよろしく頼む。
 さて今回は、そのスイッチブレードにも付いているTバーの話。
 ダイレクトドライブ方式のRCカーでは、モーターとリヤドライブシャフトが直結される構造(だからダイレクトドライブと呼ぶのだが)のため、左右のリヤタイヤが独立して作動するサスペンションを装備することができない。つまりリヤに何らかのサスペンションを装備しようと思ったら、モーターを含んだリヤ駆動系丸ごとサスとして作動させる必要がある。
 1982年より以前の12分の1マシンは、前後ともにサスペンションを持っていなかった。その代りにメインシャシー自体を柔軟な材質(FRPなど)で作り、このシャシーがねじれることでサスペンション効果を得ていた。だがこの方法は、進化し続けるパワーユニットに対応するには荷が重く、当時は本格的なサスペンションカーの登場も時間の問題だろうと思われていたのだ。
 そんな時に登場してきたのがアソシRC12iだった。このマシンは路面からのショックやコーナーリング時のロールを吸収するための措置として、メインシャシーに大胆な切り込みを入れ、シャシーの柔軟性を大幅に向上させていたのが特徴で、事実、それまでのマシンに比べて路面追従性は格段に勝っていた。しかしそれでもサスカーと呼ぶには完全なものではなかった。
 この1982年の夏にはアメリカで第1回12分の1世界戦が開催され、モディファイドクラス(この大会ではストックとモディファイの2クラスあった)優勝マシンのデルタ社製12分の1・スーパーフェイザーのリヤには見慣れないT型形状のパーツが装着されていた。これが現在に繋がるTバーの初登場である。
 この時のTバーはメインシャシー上に2本のビスを介してマウントされてモーターマウントを保持し、モーターマウントとTバーの動きは小型のオイルダンパーで制御されるといった構造を採用しており、そのスタイルは現代の12分の1マシンとほぼ同一なもの。このスーパーフェイザーの登場により12分の1マシンの基本構成は決まったといって良く、事実スーパーフェイザーは各地のレースで大活躍を演じたのである。
 その後時代は進み、1986年、今度はTバーとシャシーのコネクト部にボールジョイントを採用したマシンが登場してきた。このボールサスの誕生により、Tバーによるサスペンションの動きはよりスムーズなものとなり、路面追従性はさらに向上したのだ。これで、12分の1マシンのTバー式リヤサスは完成したといえる。ちなみにTバー+ボールサスを採用したマシンの代表格が、この年の世界チャンピオンマシンにもなったアソシRC12Lである。
 FRPのプレートがサスアームとスプリングを兼用するTバー式サスはシンプルかつ高性能な非常に優れたサスペンション方式であるが、素材自体のシナリを利用する方式のため、どうしてもTバーの個体差によるセッティングのあいまいさが出てしまう。また使用するにしたがってTバー自身が材質疲労を起こしてしまうのも弱点だ。実際にボクの経験でも、特に悪い点が見当たらないのにマシンの動きがシャキッとしないケースで、Tバーを新品に変えた途端にマシンの動きが改善された、ということがある。
 こうした弱点を解消するため12分の1マシンの中にはTバーを持たないものも存在する。当コーナー第8回で紹介したスピードマーチャントRev.3もそうだし、ちょっと前には京商・インプレスR951なんてマシンもあった。これらのマシンはリンク式リヤサスを採用することでTバーを廃しているのだが、セッティングや作動にやや神経質な特性があり、Tバー方式に対して確実なアドバンテージがあるとはいえない。
 だいたい、プロテンマシンではリンク式リヤサスを採用しているトリニティでさえ、自社の12分の1レーサーにはTバーを使用していることが、このクラスにおけるTバー方式の優位性を物語っているといえるだろう。
 しかし、前号でも書いたように今後の12分の1は4セル規定が国際的な統一規格となるようなので、これから登場してくる4セルマシンには、Tバー方式を凌駕するリヤサスが採用される可能性もあるかもしれない……。ダレか考えませんか?

 この1~2年ですっかりリンク式サスに押されてしまっているTバーの話です。原稿を書いたのは00年の12月。Tバーというのは本当によくできたシステムで、そのために20年以上も使われてきたのだと思います。最近はレースの出走台数においてリンク式の方が優位にありますが、僕自身、サスペンションの性能という点では現在でもリンク式がTバーに比べてとくに優れているとは考えていません。加えてバッテリーのセンター搭載による、いわゆる“マスの集中化”についても、RCカーでは実車ほどの重要性はないような気がします。とはいえ、バッテリー取り扱いなどについては振り分けよりも4セルまとめる方が楽なのは間違いなく、さらに日本国内でも急速に勢力を拡大している1セルリポパック使用を考えると、今後Tバー車の生き残る余地が少なくなってきているとは思います。でも、1セルリポならタミヤの10分の1F1・F103みたいにシャシーとツライチになるTバーでもいけるワケで、ロールセンターやシャシー剛性の問題をうまく解決すれば、1セルリポをセンターに搭載してなおかつTバーを持つマシンが今後登場してくる可能性も考えられます。もっとも、そんなことにわざわざ挑戦するメーカーがあるとは思えないので、自作マニアに期待するしかないのかもしれませんが。(2009年10月28日・記)

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今後の1セルリポ時代においてもTバー車が生き残るための一つの方法(写真提供・堀正宏氏)。ツーリングなんかコレに近いレイアウトで普通に走ってるんだから、多分これでもいいんだよなあ。

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