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2009年9月11日 (金)

再録・日々これ12分の1 第10回(フロントサスの話)

 前回の当コーナー(雑誌掲載時)を読んだ友人から「20年以上もRCをやってて良く飽きないねえ? しかも12分の1ばっかりなのに」と言われた。確かにナゼ飽きないのかは自分でも分からない。モノ凄いペースで進化するEPツーリングなどに比べて、12分の1マシンの見た目はここ10年以上ほとんど変わっていないし、レース場に現れる仲間の顔ぶれも一緒だ。でも、飽きてない以上、今後も12のレースは続けていくのだ。
 さて今回は、その変わらない12の中では比較的新しいテクノロジーであるフロントサスの話。
 12分の1マシンのフロントサスは大別して2タイプあるが、まずはアソシエイテッドやトリニティなどのマシンに採用されている変形ダブルウイッシュボーン・タイプから。
 現在12分の1マシンの主流となっている、このタイプのサスが登場したのが1992年、比較的新しいといっても8年も前(2000年時)のことだ。確かトリニティとアソシのプロテンで、ほぼ同時期に採用されたハズ。
 その形式とは、ロアアームを固定し、アッパーアームとナックルのみが路面のギャップやマシンのピッチ&ロールに合わせてストロークするもの。この時のショックはキングピン下部のスプリングで吸収することになる。つまり、ロアアームはスプリングのステーも兼ねているというワケ。このタイプはサスの作動に伴い対車体キャンバー角が変化、さらにアッパーアームの前後方向に迎角を設定することで、可変キャスター機能を持たせることも可能なのだ。しかも操縦性に影響の大きいスカッフ(トレッド)変化はほとんど起きないのが特徴のひとつ。
 実はこのサス、先ほどは変形ダブルウイッシュボーンと書いたが、構造的には実車のストラット型サスに近く、欧米ではそのように表記しているケースもある(こうしたサス形式の違いを知りたいヒトは実車の解説書などを参考にしてほしい)。
 さらにINDサスと書いている場合もあるが、これはINDEPENDENTの略で、訳すと「独立した」ということ。この呼び方はリジット方式のリヤサスに対比したもので、単に独立というだけならキングピンコイル式サス(タミヤ・F103のノーマルタイプに採用されているアレね)も、左右で独立はしているのであまり適切ではないと思う。
 この変形ストラット(結局そう呼ぶことにした)サスは、荷重の軽い2駆のDD車だからこそ成立するサス形式といえるが、その作動の確かさとセッティング幅の広さから、今後も当分の間は12分の1フロントサスの主流でありつづけるだろう。
 これに対して強烈に個性的なのが、現在ではコラリーのみが採用するビームアクスルだ。一体型ハの字形状のサスアーム(ビーム)の後端にナックルアームを装着し、サスの支点は前端部のボールジョイント。つまりサスの作動に伴ってキャスター角が起きてくるというシステムだ。
 左右を連結したフルトレーリングアームともいうべきこのサス、何が凄いといってロール方向の動きをほとんど考慮にいれてないのだ。もちろん、ビーム自体とメインシャシーのシナリによってロール方向にサスは動くのだが、それも前出の変形ストラットに比べれば微々たるもの。要するに、限りなく剛性の高いスタビライザーを装備しているのと同じ効果を得ているというワケ。
 ビームアクスルの歴史は意外と古く、1985年頃のシューマッハ製12分の1マシン(この当時は12も作ってた)「Cカー」に採用されたのが、ボクの記憶する限りは最初のこと。このCカーでは、より一般的なスイングアーム(ヨコモ製プロテン・YRXシリーズなどに採用)と、ビームのどちらかをチョイスできるようになっていたが、主流はスイングアームの方だったと思う。 その後はシューマッハ社が12分の1マシンの生産を中止したこともあり、ビームアクスルは消滅したものと思っていたが、1992年に登場したコラリーSP12Gのサスとして復活した時はビックリした。
 このビームサスはノンロールシステムなので、サス作動時の対地キャンバー変化はゼロ。そのため、フラットで十分なグリップが確保されている路面上では抜群の効果を見せてくれる。実際、カーペットコースなどでバッチリとセッティングの決まったコラリーを走らせた時の速さは圧巻そのもの。走らせていてこれほど面白いマシンもそうはないだろう。ただし、グリップの悪いコースやギャップの多い路面では神経質な動きを見せるのも事実。この辺りにビームアクスルが主流となりきれない理由があるのだ。
 始めにも書いた通り、12分の1マシンの見た目はここ10年近くまったく変わっていない。これは国際的な車体レギュレーションが20年近くほとんど変更されていないため。しかし、2000年から採用された4セル規定により、今後登場してくるマシンのスタイルには変化が現れるかもしれない。そうなるとさらに面白いんだけど……。

 00年当時のフロントサス事情について書いていますが、ビームサスを採用していたコラリーも、その後はスイングアームへと移行し、さらには06年からアソシ製ストラットを使用するようになっていったので、現在の12分の1マシンのほとんどは、ここで延べた変形ストラットをフロントサスに採用しています。つまり、フロントサスの形式は8年の時を経て一つに収束してしまったわけです。12分の1マシンがひたすら速さを追求するカテゴリーである以上、クルマのカタチが収斂してしまうのは仕方ないことではありますが、身勝手なマニアの一人としては、もう少しバリエーションがあってもいいんじゃないかとは思います。この記事を書いたのは世界的に4セル規定へとシフトする時期で、それに伴ってクルマのスタイルが変化するのではないかと思っていましたが、現在は再びバッテリーの移行期にあり、来年の世界戦からは1セルリポ規定が採用されそうな見通しです。こうなるとバッテリーを1個所に集中して搭載するリンク式リヤサスのクルマ一色になりそうな予感がするのですが、重量が700g台になることによるイノベーションは起こるのでしょうか? いや、起こってほしいとちょっと期待。(2009年9月11日記)

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