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2009年2月28日 (土)

再録・日々これ12分の1 第8回(「速さの商人」の話)

※お断り。 今回の記事は写真がないとその内容が分かりにくいことと思います。しかし、著作権などの理由もあって人物写真は掲載できません。申し訳ありませんが、そのあたりは脳内補完しながらお読みください。

 00年9月のEPオンロード世界戦が無事終了した(無事か?)。ボク自身の世界戦についてはあまり思い出したくないのだが……。
 今回の当コーナーは、レース内容と直接関係はなく、その12分の1世界戦で見つけた「速さの商人」の話をしたい。
 速さの商人といっても、このページの右下に載ってるオッサン(※未掲載)のことではない。オッサンが持っている12分の1マシンのことなのだ。
 このマシン、名前を「スピードマーチャントRev.3」というアメリカ製の12分の1レーサーで、ボクの知ってる限りでは今世界戦が日本初上陸となる。このスピードマーチャントを日本語に直訳すると、「速さの商人」というわけ。スピードマーチャントというブランドは、本国アメリカではそこそこメジャーなようで、全米選手権などでとくに中級者対象クラスのリザルトで見かけることが多い。
Rev3_2  ボクもインターネット上でこのマシンの存在を知っていたのだが、ホンモノを見るのは今回が始めて。所有者のスコット氏と仲良くなったこともあって撮影させてもらった(ここの写真はそのときのものではなく、スピードマーチャントのウェブサイトから引用)。
 このRev.3(レブスリー)は、最初から4セルバッテリー搭載を前提に設計されているのが特徴で、4本のバッテリーをシャシー中心線上に集中させて搭載している。このレイアウトでは通常の12分の1レーサーのようにTバーを装着することが不可能なので、リヤサスペンションにはトリニティのプロテンなどと同様のセンターボール+パラレルリンク形式を採用しているのもユニーク。フロントサスペンションにはアソシ製を使用しているが、全体的なイメージはまったくのオリジナルマシンといえるだろう。
 Rev.3は重心位置の設定などから見てもカーペット路面での走行を強く意識しており、急きょアスファルトに変更された今回の世界戦では苦戦していたもよう。ボク個人としても、このマシンの本当のポテンシャルを見ることができず残念だった。
 Rev3の所有者、スコット・トマッセロ氏はリーディ・レースの開催などで有名なリポン・スピードウェイの経営者のひとりでもあり、今回の世界戦には選手として参戦していた。また、年齢を聞いてみると何と29歳とのこと。本文冒頭でオッサンなどと書いてしまったが、実はボクより若いことが判明。7歳の娘さんがいるっていうから、てっきりボクより年上だと思ったのに……。うーん、西洋人の年齢はワカラン。
 さてこのスコット氏、ボクもさんざん苦労した12分の1世界戦のレイアウトと路面に関してこんなコメントを残していった。「われわれ(参加選手全員のこと)は選手同士で選手権を競っているのであって、コースと戦いに来ているのではない。いくら世界選手権だからといって、ここまでコースを難しくする必要があったのだろうか? さらに、自分が周回遅れになる際に、コースを譲っただけでタイヤにホコリが付いて走行が困難になるようなコンディションは、正直いって好ましくない」
 世界トップレベルのドライバーが参加する世界選手権だからこそコースを難しくする、という考えもけっして間違ってはいないと思うが、一方でこうした意見もあったのは興味深いし、これがBIGレースをオーガナイズしているコースオーナーの意見ということも傾聴に値するのではないだろうか? ただ、ボクの世界戦はコースレイアウトをうんぬんする以前に終わっていたのだが……。
 今世界戦では初めてスピードマーチャントの実車を見ることができた。これがボクにとって今回最大の収穫だった、というのは情けない限りではある。
 さあ、全日本こそがんばるぞ!

※00年9月の12分の1世界戦終了後に執筆。このレースではクルマがまったく走らず、さんざんな結果に終わりました。今ならば走らなかった原因も分かるのだが、レースをやっている最中というのは得てして視野狭窄状態に陥っているし、とりわけダメスパイラルにハマってしまった場合にはほとんど抜け出すことができないのですよ。
 それでも収穫はいくつかあり、とくにスコットの「われわれはコースと戦っているのではない」という発言は今でも折に触れて思い出します。これは自動車レースに限らず、ゴルフや陸上競技、もっと広げればスポーツ全般(野球でも球場との相性はあるみたいだし)に言えることですが、相手と戦うと同時にその会場(サーキット)をも攻略しなければならないのは、面白みであると同時に難しさをもたらしてしまいます。まあ、自分がサーキットをうまく走れなくても、競争相手がより悪い状況ならば勝ててしまうわけであって、その状態でも勝てればうれしい人と、納得できない人がいるわけで……。ちなみに僕は、自己ベストより大幅に悪い状態であっても、相手に勝てればけっこう満足しちゃうタイプです。反対に、レースで優勝しても自身が納得いく走りができなければ機嫌の悪い人もいます。僕は自分のような勝負重視型を「ファイタータイプ」、自身の絶対的な速さを求める人を「求道者タイプ」だと思っています。おお、ここでもやっぱり分類してるわ。個人的見解ですが、日本人のラジコンレーサーには求道者タイプが多く、欧米人にはファイタータイプが多いような気がします。この辺についてはいずれ改めて書いてみたいと思います。
 そういえば、取材時にスコットが「僕が載った記事を読みたい」というので、完成した雑誌と、記事内容を翻訳したものを彼に送りましたが、「オッサン~」のくだりのところは訳さずに送ったことは今でも内緒にしています。彼が「いい記事を書いてくれてありがとう」と言ってきたときにはさすがにちょっと心が痛みました。
 ところで、00年世界戦当時にスコットに「何でスピードマーチャント使っているの?」と聞いたら、「ビジネスがしやすいから」と答えてくれたのですが、その後同社製品を個人輸入しようとした友人がひどい目に会ったため、スピードマーチャント社のビジネスに対する姿勢には疑問を持たざるを得ません。(2009年2月28日記)

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