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2009年1月24日 (土)

再録・日々これ12分の1 第7回(世界戦直前、みたび4セルの話)

 最近、チーム京商の若手レーサー伊藤拓也君に身長で抜かれた。ついこの間までボクの半分位(大ゲサ)の大きさだったのにもうこのザマだ。伊藤君は現在中学3年生なので、まだまだ大きくなるだろう。しかしレースでは、年長者としての意地もあるのでそう簡単に抜かれるワケには行かない。とはいえ、去年から彼に勝った記憶がないのだが……。
 その伊藤君も出場するEPカーの世界選手権がいよいよ始まる。今回はプロテン、12分の1、そしてツーリングの3カテゴリーが開催されるが、ボクも出場する12分の1は、00年9月11日から3日間にわたって行われる。
 以前にも書いたが、今回の12分の1世界戦は初めて4セル規定で行われる。日本ではあまりなじみのないこの4セル規定とは、サブCサイズと呼ばれるRC用バッテリーを4本のみ使用。つまり、通常の6本使用(7.2V)に比べて電圧が3分の2の4.8V電源を動力にするというもの。当然、出力は大幅に低下することになる。しかも今世界戦では、マシンの最低重量規定が6セルと同じ880gになっているのだ! 
 最初にこの規定を目にしたときに、何かの間違いではないかと思い、世界戦の統括団体であるIFMAR(国際モデルオートレーシング連盟)に問い合わせたところ「880gで正しい」との返事をもらった。どういう意図でこんなルールになったのかは不明だが、出力が下がり、なおかつ重量がそのままでは、マシンのスピードが下がるのは必至だ。
 ということで880gの4セルカーでテストを行ってみた。コースは毎度おなじみ群馬県のクレストスピードウェイ、バッテリーはパナソニック3000で、モーターは10ターンの組み合わせだ。走行前は「かなり遅いだろうな」と思っていたのだが、意外とそれほど遅くはなかった。もちろん、6セルカーより速いということはないが、結構イケそうな予感がした。そこでモーターや指数をあれこれテストし、最終的には6セルカー(バッテリーはニッカドRC2000)の8分間トータル記録とほとんど同じタイムを出すことができたのだ。
 ただし、4セルと6セルではドライビングがかなり異なる。4セルの場合、どうしてもマシンの加速力が弱くなるので、スピードを落としてしまうとそこから本来のスピードに戻すのに時間がかかってしまう。そのためコーナーでは、なるべくマシンを失速させないようスムーズなドライビングをこころがける必要がある。その点6セルカーでは、多少コーナーのアプローチに失敗しても、ブレーキングとアクセル操作によりゴマカシが効くのだ。また、3000バッテリーが使えるとはいえ880gの4セルカーは燃費面がキツい。このため、モーターのセッティングにも6セル以上のシビアさが求められることになる。
 こうしてさまざまな試行錯誤の末、何とか走るようになった4セルカーを世界戦会場の谷田部アリーナで走らせてみることにした。
 当初の予定では、今年の12世界戦は特設カーペットコースで行われることになっていた。しかし、大会1か月前に室内アスファルトコースに変更となってしまったのだ。あのデカいコースを4セルで走るとなると、かなり苦労させられそうで、走る前から憂鬱になってしまったが「決まったものは仕方ない」とハラをくくって、3000×6セルのツーリングカーが走りまわる中、いざ出陣とあいなった(表現が古い)。
 最初はおっかなビックリ走り出したが、ペースが整ってくると意外や意外、ツーリングカーよりほんの僅かだが速いのだ。しかもそのツーリングカーも、世界戦出場選手たちが練習していることもあって十分に速く、ストレートでは8ターン・モーターが唸りをあげて回っている。直線スピード自体はツーリングカーの方が速いが、コーナーの連続するインフィールド区間では12分の1方が完全に速い。こうしてトータルのラップタイムでは、僅かに12が上回る結果となった。車重の軽さとスポンジタイヤ恐るべし、である。
 走行時間も、抵抗の重いカーペット路面のクレストに比べれば楽で、とりあえず8分間の走行は可能。後はどこまでスピードを伸ばせるかだ。
 世界戦で使用するバッテリーは、現時点での選択肢はパナソニック3000とサンヨーRC3000の2タイプ。これらのバッテリーは共にニッケル水素バッテリーなのだが、その出力特性が異なる。パナソニックはどちらかというと容量重視タイプでマイルドな出力特性。反対にサンヨーは高出力だが、若干走行時間が短くなる。これらのバッテリーをクレストで比較した結果、ほとんど同じ周回数+タイムとなった。このため、バッテリー選択はムズかしくなってしまった。おそらく大会直前まで悩むことになるだろう。
 ボク自身2度めの挑戦となる12分の1世界選手権。観光がてら出場した前回の98年イギリス大会では、散々な結果に終わり結局クヤしい思いをしたので、今年はできる限り体制&体調を整えて完全燃焼したいものだ。でも、その3週間後には全日本選手権が……。

※執筆は00年8月。この年の9月に行われる世界戦への仕上がり具合について書いています。当初の話ではカーペットコースということだったので、そのつもりで準備していたのだけど、急にアスファルトになるっていうんだもんなあ。仕方ないから気を取り直してアスファルト用の練習に行きました。
 しかし、路面よりも問題だったのが880gという重量規定。当時のクルマは、受信機用50mAhニッカドバッテリーを搭載しても840g程度には納まってしまったから、どこにバラストを装着するかけっこう悩みました。この880gは、それまでの6セルから4セルに規定を変更する際に、併せて重量も軽くしなくてはならないのをウッカリ忘れた。というのが真相だとの噂を聞いたのですが、後にほかの世界選手権参加&取材をした経験から考えると十分にあり得る話です。その程度にはいい加減だな、と。結局この880g規定は、02年の世界戦南アフリカ大会の会場で突然840gに変更されるまでそのままでした。
 また、走らせ方についてはその後にだいぶ変化しました。現在ではニッケル水素バッテリーのパワーと容量が大きくなったことと、高効率なブラシレスモーターの普及もあり、4セルであってもこのとき書いた6セルカーの走らせ方に近くなっています。とくにクレストではよりストップ&ゴー的な走りになりました。パワーが十分にあるのでなるべく直線的に走るというか。
 最初の方で話題にしている伊藤君は、まさにこのときの世界選手権で大ブレーク。プロテン&12分の1クラスでAメイン入りと大活躍し、完全にトップドライバーの一員となりました。現在では立派な青年になっていますが、このころからの礼儀正しさなどは世界的な選手になっても変わっていません。“もちろん”この年から現在まで彼に勝ったことは1回もありません(泣)。(2009年1月24日記)

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