無料ブログはココログ

« 2008年12分の1世界戦参戦記・その5 | トップページ | トヨタTF109 »

2009年1月15日 (木)

再録・日々これ12分の1 第6回(続・関東2次予選の話)

 先日(00年6月ごろ)、ツーリングカーのプレ世界選手権出場のため来日したデビッド・スパシェット選手と話をする機会があった。ツーリングレースの会場だったというのに、会話の内容は12分の1のことばかり。これこそ公私混同と言わずして何と言おう? もっともボクの振った12の話題に乗って来るデビッドもデビッドだが……。ようするに、彼もかなり「12分の1な人」ということだな。
 前回の当コーナーを読み返すと、ほとんどケガしたグチばっかり書いていたことに気が付いた。そこで今回は、関東2次予選でのマシンセッティングに関する話をしたい。
 予選会場となったクレストスピードウェイはボクのホームコースともいうべきサーキットで、12分の1マシンを思う存分走らせられる、現在では貴重な場所でもある。路面はカーペット舗装で高グリップなのは良いのだが、そのせいか燃費的にはやや苦しい。つまりタイヤの転がり抵抗が大きいということ。そこでマシンセッティングとドライビングには、バッテリーを持たせるためのテクニックが要求されるのだ。
 ラップタイムを落とさずにバッテリーを持たせるにはコーナーでマシンを失速させないことが重要だ。これにはコーナーでステアリングをなるべく切らないようにすると良いのだが、この時リヤタイヤが滑ってしまっては何もならない。そこで、はじめにリヤのグリップを最大限に確保しつつ、フロントタイヤのグリップが最適になるようにセッティングを進めることにした。
 ということで数種類のリヤタイヤをテストした結果、JACO・グレーが最高にグリップした。しかしこのタイヤは単価が高いので、予算の関係もあり2番めにグリップしたHPIのKラバーハードを使用することに決定。リヤタイヤの直径は50㎜。グリップ的には52㎜の方が高いが、アンダーステアが強くなってしまうので、フロントとのバランスを考えてこの数値に落ち着いた。
 そのフロントタイヤも、一番グリップするが高価なJACO・パープルはやめてヨコモのLラバーファームの硬めのものをセレクトして使用した。これは硬めのコンパウンドの方がコーナーでのヨレが小さく失速感が少ないため。
 こうしてタイヤが決定したので続いてサスのセットだ。
 ボクはサスセッティングもリヤから行うことにしているので、まずはリヤのダンパーブレースに塗るグリス(オイル)をテスト、これも硬めの方がグリップ感はあるものの、小さいコーナーでの運動性を重視して#700のダンパーオイルを塗ることにした。ピッチングダンパーはVCSタイプに#400のオイル、スプリングはノーマルだ。
 今回からボクのアソシ・RC12L3はステアリングサーボをシャシー上に直接マウントするスタイルに変更した。これがかなり効果的で、シケインでのハンドリングが向上したが、それでも若干「曲がらない」感じがする。しかしここでフロントタイヤを軟らかめのコンパウンドに変更したり、フロントスプリングをソフトにすると、やはりコーナーで失速してしまう。ちなみにFスプリングはタミヤF1用の黒を愛用している。理由は安いから。
 このアンダー対策として、Fナックルとアッパーアームの間に挟むシムを1枚から3枚に増やした。これでサス作動時のキャンバー変化量が増え、アンダーステアは収まったが、今度はコーナー脱出時にステアリングが「残る」ようになってしまった。そこで、サーボセイバーのボールエンドを短いものに変更してアッカーマンを調節し、コーナー外側タイヤの切れ角を若干少なくした。この効果は絶大で、非常にバランスの良いハンドリングに仕上ったのだ。
 マシン的にはほぼ満足の行く状態(燃費に不安はあったが)で大会前日の練習を終了した。しかし一夜明けてレース当日になると路面コンディションが大きく変っていた! これは前夜にコースの清掃作業を行ったのが原因のようで、コントロールドプラクティスでは前日より路面グリップが大幅に低下している。本来ならここで路面に合わせてセッティング変更をするべきだが、「レースが進むにつれてグリップはきっと上がる」と信じて、あえてセッティングはそのままに。結果的にこれは成功で、特に後半の予選ラウンドにおいてマシンは抜群に良く走ってくれた。レース結果は前回を見てほしいが、まずまずの成績で関東2次予選を終了した。
 今回はレース前日にじっくりとセッティングを行い、マシンを良い状態に仕上げることができた。今後のレースもこう行きたいものだが、世の中そんなに甘くはないだろう。

※まず最初に訂正を。後半のフロントサスのセッティングのところで、ナックルの下に挟むシムを足してキャンバー変化量を増やし、アンダーステアを抑えた、と書いてあるが、今ではここのシムを増減させた場合に得られる効果は、キャンバー変化量よりもロールセンターの変化によるものが大きいと考えている。確かにキャンバー変化量も変わるのだが、ここでコンマ何ミリかシムを変えても、操縦性に大きな影響を及ぼすほどキャンバーは変わらないと思う。それよりもロールセンターの変化で荷重のかかり方が変わってくる方が大きいんじゃないかと。100%断定できないところに僕自身の弱さがありますが。
 ちなみにこのとき書いたようにアッパーアームとナックル間のシムを増やすと、普通はロールセンターが上がります。このへんはカン違いしてる人が意外と多いけど、作図してみると分かるはず。このときはロールセンターが上がってタイヤにかかる面圧も上がり、それでアンダーステアが減ったのだと思う。もちろんキャンバー変化の仕方も必ずしも無関係ではありません。また、路面のグリップやコーナーに突っ込んでくるスピードが変わると、フロントのロールセンターを下げた方がアンダーにならない場合もあるので、ケースバイケースで考えてください。
 ロールセンターの変更によるマシン挙動の変化については、後の4独12分の1マシン開発(2003~2004年)でかなりの経験が得られたので、2000年の関東2次予選当時とは考え方が変わりました。(2009年1月15日記)

« 2008年12分の1世界戦参戦記・その5 | トップページ | トヨタTF109 »

再録・日々これ12分の1&すべては12分の1のために」カテゴリの記事