無料ブログはココログ

再録・日々これ12分の1&すべては12分の1のために

過去に雑誌に掲載した記事の再録です。 一部を加筆・修正し、注釈を加えてあります。

2012年2月19日 (日)

再録・日々これ12分の1 第16回(続・モーターの話)

 今年(01年)の12分の1全日本会場でもある川場RCプラザに行ってきた。もちろん、ただ行ったのではなく12分の1を走らせてきたのだ。前号で予想した通り今年の12分の1はやはり速い。走行用バッテリーが2本減ったくせに2年前の自己ベストと同等のタイムが出てしまった。そのタイムも大会の数か月前からテストと練習を重ねてようやく出したもので、今年は初日からこのタイムと並んでいるということから、4セル&800gのJMRCA新規定は確実に12分の1をスピードアップさせたといえるだろう。しっかしボク自身の体力と視力、反射神経は、この2年間の不摂生と老化(?)により間違いなく落ちてるのに、マシンは速くなるんだモンなあ……。
 さて前回の続きであるモーターの話だが、前号ではモーターには大別して回転型とトルク型の2タイプがある、というところまで話した。ここで話をややこしくするのがその特性だ。いわゆる回転型とは文字通りモーターの最高回転数が高いというものだが、実際には「ゼロから最高回転数に達するまでの時間が短い」という特性も持っている。そのため適切な指数(減速比)で使用してやればマシンの加速性能を高めることができる。
 これに対してトルク型のモーターは全回転域で発生するトルクが太いので、大きめのピニオンギヤで回しても路面や空気の抵抗にモーターの出力がスポイルされにくく、高い指数を活かして最高速を伸ばすことができる。つまり回転型のモーターはテクニカルなコース、トルク型モーターは高速型のコースに適しているということ。こうしたことを考慮してモーターのタイプを選択した後、今度はさらにキメ細かくモーターをセッティングしていくことになる。
 まずは指数(ギヤ比)の選択だが、これに関して特に原則というものはない。ただし、経験的にある程度の基準が自分の中にあるので、モーターの特性とコースの大きさを考慮したうえで適当と思われる数値からテストを開始する。他のヒトのデータも参考にはなるけど、この指数というヤツは、例えターン数が同じであってもモーターの特性や路面コンディション、さらに使用しているバッテリーによって大幅に変化する。
 特にバッテリーの違いは重要で、パワフルなバッテリーを使えばモーターの加速性能が向上するため、大きめのピニオンが選択できる。全日本などの大きな大会では、ワークスドライバーのセッティングデータが公開されることが多いが、この時に注意したいのが、ワークスの使っているバッテリーは、大抵の場合ふつうに市販されているものよりパワフルだということ。つまり、ワークスとまったく同じ指数を採用するとマシンの加速力が鈍くなり、スピードが出ない可能性があるのだ。だからといってワークスドライバーがウソをついてるワケではない。
 ワークスといえば、昨年の12分の1世界戦谷田部大会において某誌スタッフのKはコラリーをドライブした。この時、彼のモーターメンテナンスをコラリーワークスに依頼することになり、英語の不自由な(日本語も時々ヘンだが)Kに代わって、ボクがヤツの要望をメンテナンス担当のダニー氏に伝えることになった。最初にダニー氏から手渡されたモーターは10ターン、指数も彼の指示通りに設定した。このままでも十分に速かったのだが、Kがずうずうしくもさらに注文を追加すると(確かストレートスピードを速くしたいとか、そんなことだったと思う)ダニー氏は進角を強めたモーターを返してきた。「ずいぶん単純なチューンだな?」と思ったものの使ってみるとあらビックリ、メンテナンスに出す前より確実にストレートが速くなり、走行時間もしっかりと確保されていた。これに驚いてダニー氏にチューンの秘密を聞きに行くと、「ただしっかりと組んだだけ」という答え。要するに本当の秘密は教えてくれなかったわけだが、モーターは組み方ひとつでずいぶん性能が変るもんだ、とあらためて実感した次第だ。
 モーターの進角というヤツも結構厄介で、強めれば速くなるが燃費も悪化する。また進角の強いモーターはニュートラル時のブレーキ効果も強いため、コーナーで失速しやすくなる。ということでモーターをセッティングする時には、単に出力特性と走行時間だけでなく、減速性能やマシンのハンドリングも考慮する必要があるのだ。
 ターン数が同じであっても、ローター巻線の違いによってモーター特性は異なってくる。これは良くダブル巻きやトリプル巻きなどと呼ぶもので、ローターに銅線を巻き付ける際に何本の線を同時に巻くかということだ。つまり2本同時ならダブル、3本ではトリプルになる。もちろん1本はシングルで、この時巻き付ける銅線が太いほど、一度に大きな電流を流せるためモーターの特性はパワフルになる。ただしローターに巻ける銅線の太さには限界があるので、多重巻きを採用して巻線の太さにバリエーションを出すというわけ。ちなみにダブルの場合は、線の太さに√2をかけたものがシングルに換算した太さになる。
 12分の1を始めとするダイレクトドライブのマシンでは、マシンに搭載した時のモーターの違いや加速感を極めてリニアに感じことができる。これが12分の1の大きな魅力のひとつであるのは間違いなく、ボクがふだんは12分の1とミニッツレーサーしかやらないのはこのあたりにも理由があるのだろう。

 2001年5月に書いた原稿です。前回に引き続きブラシモーターに関する記事なので、現在ではノウハウとしてあまり価値がないと思います。が、回転型とトルク型の話は基本的に現在にも当てはまるし、当時はこんな感じだったというのを思い出すのにはよいのではないかと。川場の練習で、2年前の6セルとほぼ同等のタイムが出たと書いてありますが、いざ本番になると、天候による路面コンディションの悪化で上位陣のタイムは思いのほか伸び悩みました。その翌年はグリップ向上でえらいことになったけどね。
 僕がふだん12分の1とミニッツしかやらないという状況は、スピードウェイ・パルでのF1が加わったことで少々変化しました。もっともパルのF1も基本的に月イチですが。いずれにせよ、ダイレクトドライブカーばっかりやっているのは変わりません。VRCプロも、気がつくと12分の1しかやってない(笑)。(2012年2月19日・記)

2012年1月21日 (土)

再録・日々これ12分の1 第15回(モーターの話)

 今年(01年)の全日本選手権会場が群馬県の川場RCプラザに決定した。実は、ここはボクの大好きなコースだ。その理由として、ボクの実家から比較的近いということもあるのだが、何よりもそのコースレイアウトが面白い。低~高速コーナーがバランス良く組み合わされ、さらに各コーナーのRが微妙に変化する凝ったレイアウトは何度走っても飽きることがない。今から9月の本番を楽しみにしているが、せっかくの地元開催だし、今年はなるべく多く練習に行きたいと思っている。ま、それで結果が悪ければ諦めもつくし。
 ところでこの川場村のコースは、ワンテンGPレーサーも走れるだけあって、12分の1で走ると非常に大きい。ここでは2年前にも同クラスの全日本が開催されているのだが、その時のレイアウトでは1周約198mというデータが残っている。当時の最速ラップはHPIの吉岡選手が出した16秒中盤だったはずなので、1周の平均速度はざっと計算すると時速43kmになる。これは相当に速いと思うが、バッテリー本数が2本減ったとはいえ、800gに軽量化された今年の12分の1マシンはこのタイムを確実に塗り替えてくるだろう。ただし、それなりにパワフルで効率の高いモーターが必要になるが……。
 ということで今回はモーターの話。
 4セルレギュレーションにより劇的に変化したのがモーターのターン数だ。6セル時代は14~16ターンが主流だったのが、ニッケル水素×4セルでは9~11ターンを使うことが多い。ちなみに指数は10ターンなら38~40位。これで8分間走ることになる。
 バッテリーが4セルになったため、当然ながら絶対的な出力(電圧)は低下した。そのためモーターの選択に関しては6セル時代よりもかなりシビアになった。6セルの時は路面の状態によっては明らかにグリップに対してオーバーパワーになるケースがあり、その場合、手巻きに比べて多少効率の落ちる機械巻きモーターを使用しても、これを上手く使いこなすことで良いタイムを出すことができた。
 しかし4セルの場合はモーターの違いが6セルよりも顕著に現れる。ボクがテストした感じでは手巻きモーターの優位は明らかで、とにかく良いモーターを造る(見つける)ことが4セルのレースで好成績を残す第一歩となる。もちろん、ここで話していることはあくまで全日本などのシビアなレースを目標に考えてのことで、フツーに12分の1を楽しむだけなら機械巻きモーターでも何のモンダイもない。
 さて、それではどんな基準でモーターを選ぶかというと、最初にどうしても必要なのが“速さ”だ。コレがないととにかく話にならない。やっぱりストレートで遅いと不利だし。続いて必要なのが燃費の良さ(つまり効率が高いということ)。そして最後は運転のしやすさだ。意外に思うかもしれないが、レースで好成績を残そうと思ったら「速くて持つ(長時間走る)」というのが第一条件で、ドライバビリティは2の次になる。といっても扱いやすいモーターを使えば良いタイムが出ることが多いけどね。
 最初の条件である速いモーターを選択するにあたって考慮するのはターン数のこと。最初は常識的なセンから始めるので、とりあえず10ターン位をチョイスすることが多い。モーターの特性として、一般にターン数が少ないと出力が大きく、反面バッテリーの消費が多くなる。そのせいか、ターン数の少ないモーターで8分走り切るとそれを自慢するヒトが良くいる(ボクもそう)が、これって実はエラくもナンともない。実際は何ターンで走ろうが8分間を一番速く走ったヤツがエラいのであって、例え7ターンで8分走っても11ターンに周回数&タイムで負けていたのではナンにもならない。
 さらに、ひとコトで速いモーターといっても実は色々ある。いわゆる「回転型」というヤツと「トルク型」のヤツだ。もちろんこれは大雑把な分け方であるが、まあこの2タイプで考えて良いだろう。モーターの最終的な出力は(トルク×回転数)で決まる。一般にモーターのターン数が多いとトルクは増えるが回転が低くなり、ターン数が少ないと高回転型となるがトルクが減る。ただし、少ターンモーターでは回転が高くなる割合がトルクの落ちる割合を上回るので、総合的な出力が大きいくなるのだ。だから、ターン数が少なくなるに従って指数は小さくなる(モーターの回転数が上がるので、減速比が大きくなる)というわけ。
 ここまで来たところでスペースがなくなってしまったので、「モーターの話」来月に続きます。

 1セルリポ+ブラシレスモーターがスタンダードになってしまった現在では、すでに隔世の感もある原稿です。とはいえ、ターン数が少なくなるとスピードが上がる代わりに電気を食うという状況はブラシレスモーターでも変わらないので、今でも基本は変わっていないはず。燃費のことや、バッテリー選択などについては金銭面も含めて確実に当時より楽になっています。そしてスピードが確実に速くなっているのも事実です。このころはまだ国内の4セルは黎明期にあり、実際この年に川場で行われた12分の1全日本では、その2年前の6セル時代よりも8分間の周回数が少ない(=スピードが低い)という結果になりました。しかし、10年の1セルリポによる川場12分の1全日本の記録は過去最速だったのです。いやあ、アイテムの進歩って凄いですね。それに対して僕自身はどんどん衰えていくなんて、時の流れはなんて残酷なんだ(泣)。もっと光を! でも、昨今の凄く速い12分の1は運転していてとても楽しいので、まだまだレースも続けていこうと思います。(2012年1月21日・記)

2012年1月 4日 (水)

再録・日々これ12分の1 第14回(レースの話)

「スイッチブレード軽量化日記」
3月某日
 アンプをLRPのクァンタム・コンペティションに変更した。これで10gの軽量化を実現してトータル810g。あと10gだ。
 さて今月のお題はレースの話。
 ボクはRCカーでレースをするのが好きだ。レースで勝つのはもっと好きなんだけど、そんなことは何年かに一度あるかないかなので、さすがにそれだけではレースに対するモチベーションとはならない。ではレースの何が好きなのかというと、実は良く分からない。それでもとにかく、ボクがレース好きなのはまぎれもない事実だ。
 12分の1のレースはふつう8分間周回方式で行われる。これは予選でも決勝でも変らない。しかし、実は予選と決勝ではそのレースの状況が大きく異なっている。予選では通常スタッガースタート方式が採用され、レースに参加する各マシンは一斉ではなく1台ずつ間隔を空けてスタートする。そして、そこから8分間でどれだけの周回数を稼げるかの勝負となる。つまり予選はあくまで自己記録を追求するものといえる。もちろん、8分の間には周回遅れをパスしたり、速いマシンにラインを譲ったりすることもあるが、これはあくまで副次的なもの。予選レースの本質は間違いなく自分との戦いにある。
 これに比べて決勝レースは、全車が「よーいドン」で一斉にスタートするため、いきなり他者(車)との戦いが始まる。スタート直後に良いポジションを確保しないとその後のレース展開が非常に不利になってしまうので、みんなが我先にとコーナーに突っ込んでくる。ここではとにかく、自分の限界とかその後ペースなんか考えてるヒマなんぞなく、ひたすら前に出ることのみを本能にまかせて突っ走っていく感じだ。さらにレース中も終始自分の前後にいるマシン(稀に自分の前にしかマシンがいなかったり、もっと稀に自分の後ろにしかマシンがいなかったりする場合があるけど……)のペースを気にしながら走ることになる。
 このように同じ8分間方式のレースでありながら、予選と決勝でかなり内容の異なる2タイプのレースを味わうことができるのも12分の1の大きな魅力のひとつだ。
 この8分というレース時間も12のレースを面白く(かつ難しく)する要素である。通常12分の1マシンのパワー系をセッティングして行く際、常に全開で走らせるとバッテリーが8分間持たないようにセットして、実際のレースでは8分持たせるようにペースをコントロールしながら走る。なぜこんなメンドくさいことをするかというと、原因はバッテリーにある。これは特にニッケル水素バッテリーに顕著なのだが、走行用バッテリーの放電電圧は緩やかなカーブを描いて下降する特性があり、そのためレースの始めから全開で走行してしまうと、バッテリー電圧が下降してきた時にラップタイムの落ち込みが激しくなってしまうのだ。これを補うために、レース序盤の電圧が高い時にはスロットルを控えめにして、後半になってバッテリーがタレてきたらスロットルを全開にしてスピードを補うペース配分を行うというわけ。
 つまり、調子に乗って飛ばしてしまうと走り切れないようなセットアップでスタートし、その後は8分間でバッテリーをキッチリ使い切るよう慎重に走らなくてはならない。これこそまさに自分との戦いと言わずして何と言おう? とはいえ、前述したように予選はスタートのタイミングも選手個別になるため、そういう意味では自分のペースを作りやすい。しかし決勝ではそうはいかない。なにしろ場合によっては自分よりペースの速いマシンを抑え込んだり、少々オーバーペースでも前を走るマシンを追っかけなくてはならない。しかしそんなコトをしながらも、常にアタマの片隅ではバッテリー残量のことを気にしておく必要があり、コレを忘れると調子良く上位を走っていてもレース終盤にはバッテリーがタレて一気に順位を落してしまうことになる。
 これらの要素を加味して、ではお前は予選と決勝のどっちが好きなんだ? といわれるとちょっと考えてしまう。しかし、予選レースが上手くいった時には「達成感」があり、決勝の結果が良かった時には「征服感」がある。ようするにボクは予選と決勝のどっちも好きなんだということ。とにかくレースは楽しい。特にスタート前のドキドキする感じは何年やってもヤメられない。ただし、昨年(00年)の12分の1全日本関東地区予選のスタート前は、ナゼだか分からないが妙に緊張していて「ここから今すぐに逃げたい」という気持ちになったのを憶えている。しかしこの時はレース結果が良かったので、これは集中力が極度に高まった時のサインだった。と勝手に解釈して良い方に考えている。
 こんなことを思い付くままに書いていたら無性にレースがやりたくなってきた。ここ最近は月に一回クレストスピードウェイでのレースしかやってないので、もう少しレースの出場機会を増やしたいところだが、意外とヒマがなくってなあ……。

 01年春に書いた原稿ですが、このときのレースに対する気持ちは現在でも驚くほど変わっていません。とにかくレースが楽しくて仕方ないのです。で、今でも月イチのクレストレースにはほぼ欠かさずに出ているし、昨年はスピードウェイ・パルのF1シリーズ戦にも参加しました。歳をとったことに加え、06年に発症した病気のせいもあって体力は10年前より確実に落ちているので、レース後の疲れも以前より残るようになりましたが、このレース好きな気持ちが変わらない限りレースには出続けようと思います。
 ただし、この原稿に書いた12分の1レースの予選に関しては、現在では少々事情が変わっています。現在はあまり“燃費走行”をやらず、ふつうに走ってちょうど8分持つようにセッティングすることが多くなりました。これはリポバッテリーの出現によるところが大で、放電終期でも電圧が落ちにくいリポでは、ハーフスロットル走法の効果が得にくいのです。もちろん、あまりバカみたいに飛ばすとタレて8分走れなくなりますが。むしろ、最近ではタイヤのグリップを最後まで持たせるように気を使って走るケースが増えたような……。(2012年1月4日・記)

2011年12月30日 (金)

再録・日々これ12分の1 第13回(800gの話)

 早いもので当コーナー「日々これ12分の1」も連載2年めを迎えることになった。そこで、ちょこっとだけカンバンをリニューアル(雑誌連載当時に、タイトルのロゴなどを変更)したのですが、いかかでしょうか? 実はこの1年の間、いつ編集長から連載中止を命ぜられるかビクビクしていたのだが、どうにか生き残ることができてホッとしている。なにしろ昨シーズンのボクのレース成績は世界戦~全日本とハズしまくり、こんなボクが12分の1について何か語って良いものだろうか? と反省していた時期もあったのだ。しかし反省のないところに成長もまたない。ということで、終わったことは西の海に流し、今シーズンも心を入れ換えてがんばるので、これからもよろしくおねがいいたします。
 さて今回は、今シーズン(2001年)からJMRCAのレースでも採用されることになった12分の1・4セル規定に伴う新重量規定800gの話を。
 12分の1クラスの世界的傾向(だと思うが)の4セル化はわが国も例外ではなく、01年度の全日本選手権は4セルで開催されることになった。これは、昨年日本で開催された世界選手権の規定に合わせたものだが、その世界戦でも参加選手たちの頭痛のタネとなった最低重量規定は、最終的に800gに決定した。昨年末の発表時には世界戦と同じく880gであった同規定、さすがにJMRCAでもこれは現実的ではないと判断したのか、結局イギリス・BRCAの規定と同じ4セル=800gに変更されたということだ。
 こうして、一見4セルとしてはリーズナブルな重量規定に決定したわけだが、実はこの800g規定により、ボクは新たな悩みを抱えることになってしまったのだ。
 ボクは昨年末から自身のレース用マシンをトリニティ・スイッチブレード12SJに変更した。このマシンは各部の剛性が高く、そのため走行も非常にカッチリとした特性を見せる。この点に関してはとても気に入っているのだが、反面、ライバルメーカーたちのマシンに比べると重い。なにしろメインシャシーなんか厚さ2.6㎜もある。試しにアソシ12L3のノーマルシャシー(6セル用)とメインシャシー単体の重さを比べてみると、何と12gも重いことが分かった。元々重量の軽い12分の1クラスではこれは相当な差である。加えてフロントサス回りも金属を多用(コラリーのように金属製ビームが付いてるわけではナイが)しているため、けっして軽い造りではない。これらの要因がどういう結果をもたらすかというと、スイッチブレードを4セル仕様でほぼノーマルに組んだ場合に「車重840g」になってしまうということ。
 ただでさえ4セル化によって絶対的な出力が落ちているうえに、40gも余分な重量を抱えていてはライバルに対してかなり不利。そこで、本格的なスイッチブレード軽量化計画を実行に移すことにした。
 まずはメインシャシー及びフロントサスペンションブレースに削り&肉抜き加工を施し、これで数gの軽量化を果たした。しかし、当然耐クラッシュ性は低下した。加えてビス類をアルミ製に変更。しかし、元々大半のビスがアルミ製だったので、これは2、3gの軽量化にしかならなかった。最後にもっとも効果的だったのが、受信機&アンプの樹脂製ケースをはずして熱収縮チューブでカバーし直したこと。この改造だけで約14gの軽量化に成功した。もっとも、これも受信機&アンプ内部の電子回路保護を考えると感心できないことではあるのだが……。
 これらの改造によってボクのスイッチブレードは、プロトフォーム・P35ボディ搭載で820gに仕上がった。しかし、規定まではまだ20gある。先月号でも紹介した別電源を取ってしまえばちょうど800gで仕上がるのだが、別電源にはこだわりがあり、これは外したくないのでさらなる軽量化は今後の課題とした。
 こうして軽くなった4セルカーは、以前(880g時)に比べて圧倒的に速くなった。事実、ボクの地元であるクレストスピードウェイで開催されている月例4セルレースでは、880g時代の記録を1周以上塗り替えている。これは、軽くなったマシンの加・減速性能が向上したこともあるが、軽量化によってタイヤのグリップに余裕が生まれ、コーナーリングスピードが大幅に速くなったことが最大の要因だろう。
 見た目には、ストレートスピードは6セル時代と変らない(むしろやや遅い)が、コーナーの通過速度が速いため、4セルマシンはまるでスロットカー(専用の溝付きコースを走る模型レーシングカー、これが名称の由来で、決して「スロットル(・)カー」ではない)のような走りを見せてくれ、これはこれでかなり面白い。ただし、以前は4セルマシンのメリットといわれていた「軽量のためクラッシュ時に衝撃が低く、マシンが壊れにくい」というヤツは速度向上により完全に相殺されてしまったが。
 ところで、初の800g規定で行われた2月のクレスト4セルレースでは、なぜかボクが強豪選手を抑えて優勝してしまった。これが今年のピークになってしまわなければ良い、と今から心配しているのだが……。

 内容から分かってもらえると思いますが、原稿を書いたのは01年の2月です。1セルリポ時代となり、結構な重さのバラストを積まないと730gの規定に達しない現在からは考えられない苦労をして軽量化を行っています。まあ、それも今となっては懐かしい思い出に……。
 そして最後にはクレストナイトレースでの優勝についても書いています。この時のことは今でもハッキリと思い出すことができます。何しろ生涯でもめったにない会心のレースでした。予選まではイマイチだったので、決勝前にアンプを載せ換えたら、決勝ではみちがえるようにクルマがよく走って、予選6位スタートながらすぐにトップに追い付き、アオリまくった末にミスを誘って抜くことができました。ちなみにこのときトップを走っていたのはこの間の12分の1全日本でもAメインに入った某選手です。これで「今年はイケるかも?」と思ったものの、案の定その後は低迷し、クレストナイトレースに至ってはその次に優勝するまで約8年かかりました(泣)。本来の実力以上の結果が出たということで、このレースでの僕には“何か”が降りて来ていたのでしょう。すぐにいなくなってしまったようですけど。別に常駐してくれて構わないんだけどなあ。(2011年12月30日・記)

2011年12月22日 (木)

再録・日々これ12分の1 第12回(別電源の話)

なんだかこの再録記事を作るの久しぶりな気がする、と思って調べたら最後の更新が2年以上前だった……。ストックはいっぱいあるので、もうちょっと更新ペースを早めよう。

と、今は思っている。

 最近、自分のドライビングスタイルについて考えることがある。仕事柄、若いドライバー(こう書くと自分が年寄りのようでヤだけど)がRCカーを走らせているのを見る機会も多いが、彼らの走りは「キレイなラインを描いてコーナーに進入し、車速を殺さずそのままスムーズにコーナーを脱出する」というスタイルが主流だ。これはとても理に適ったコーナーリングで、このスタイルで走らせる代表格がツーリング世界チャンプの原篤志選手だといえる。
 これに対してボクのコーナーリングは「勢いだけでコーナーに進入して、強引に向きを変えるとガバッとスロットルを開けていく」というもので、決してモダンなスタイルとはいえない。たとえこの走りでも速ければいいのだが、大して速くないのだから始末に終えない。ボクも早いとこスムーズな走法に変えていかないと4セル時代の12分の1レースで好成績を残すのは難しそうだ。
 さて今回は、その4セルマシンで重要な役割を果たす受信機&サーボ用電源(以下別電源)の話を。
 今年のJMRCA12分の1全日本は4セル規定で行われることになった。世界選手権やヨーロッパ選手権などが4セルで行われたことを考えると、この決定は妥当なものといえるだろう。しかし4セルということはバッテリー電圧が4.8Vになるということなので、本来6Vでの作動を前提に設計されているSTサーボのスピードが遅くなってしまうのだ。遅くなるといっても6→4.8Vだから極端に変わるワケではないし、4.8Vでも受信機&サーボが誤動作を起こすこともない。実際に4セルで別電源を搭載しない人もいるが、サーボのスピード&トルク低下を気にしないのであれば(ボクは気になるけど)、別電源がなくても問題はない。
 それではなぜ別電源を搭載するかというと、それは最低重量規定というヤツが関係してくるのだ。
 昨年谷田部アリーナで開催された12分の1世界選手権は、880gという最低重量規定が採用された。セルの本数が2本減り、そのままだと100g以上軽くなるのにナゼか6セルと同じ重量。まさかと思ってIFMARに問い合わせてみたが、880gで正しいとのこと。どうやら、手違いにより重量規定を修正せずに新ルールを発表してしまったので、そのままで行くことになったらしい。なんだか人をバカにした話だが、とにかく880gでレースは開催された。そうすると各マシンは100gものバラストを装着しなくてはならず、それなら別電源を使用した方が得策ということで小型のニッカドバッテリーを搭載することになった。
 この別電源で一番ポピュラーなのが、サンヨー製1.2V・50mAhのセルを5本直列に接続したもの。これなら重量も約20gと軽く、サイズもコンパクトなので搭載スペースの点でも有利だ。また、先の世界戦ではこれより大きめの1100mAhセルを電源にしていたマシンもあった。こうした6V電源を使用することで、サーボの作動スピードは確保される。ちなみにボクの経験では、満充電した50mAh電源なら走行用バッテリー2パックまで使用可能だ。ふつう1パックで8分間走行するので、走行前後の時間を入れて約18分はバッテリーが持つということ。3パックめも行けるかは不明だが、途中でのバッテリー切れによるノーコンが怖かったため、試してない。
 さてこの50mAhセル、ふつうはマシンに両面テープなどで固定して走行毎に充電するが、このやりかたでは、完全に放電されていないバッテリーに対して追加充電を重ねるために毎回過充電気味となり、バッテリーへの負担が大きくてすぐに“死んで”しまう。そこでボクは3パックの別電源を用意してローテーションするようにしている。ちなみに2パック走行分使用した後の別電源は0.2A程度の電流値で放電してから0.1Aで充電する。この方法で1年近く50mAhパックを使用しているが、3パックともまだ元気だ。また、バッテリーを交換する度に両面テープを張り替えるのは面倒なので、ステーを作ってビスで固定している。
 別電源使用時に注意したいのが配線の変更。受信機&サーボ用の電力を走行用バッテリーから共用する6セルマシンでは、アンプ側から電源が供給されるが、別電源使用の場合はこれが必要なくなるので、アンプの受信機用コードから+側のコードをコネクターピンごとはずし、別電源からの配線は受信機のバッテリー用コネクターに接続する。別電源側にもスイッチを付けるので、マシンに装備されるスイッチは2個。スイッチを入れる順番は、①別電源、②アンプとなる。ただし、ノバック製のアンプやLRPクァンタムなど、+コードをはずす必要のないアンプもあるので注意してほしい。これらのアンプでは、別電源使用時にはアンプ側のスイッチを常にオフにし、別電源側のスイッチのみ使用する。
 別電源を搭載した4セルマシンの走行では、バッテリー容量が少なくなってからの動きが6セルの時と異なる。6セルではバッテリーがタレてマシンのスピードが鈍ってくると、それに合わせてSTサーボのスピードもやや遅くなり、ちょうどバランスするようになるが、4セルでは走行用バッテリーがタレてもサーボはまだシャキシャキ動く。そのため、4セルに慣れないうちはコーナーの進入速度に対してサーボが速く反応し過ぎてイン側のフェンスにヒットしてしまうことがあった。もっとも、これはボクがヘタだったせいかもしれない。ああ、やっぱりスムーズな走りを身に付けないと……。

 01年初頭に書いた原稿なので、ほぼ完全にリポバッテリー時代に移行してしまった現在では、情報という点であまり有益ではないと思います。まあ、当時はこんな状況だったな、程度の感じで。冒頭にはドライビングスタイル(走らせ方)についての話題がありますが、現在では当時とは走らせ方が大きく変わっている気がします。これは僕自身のことじゃなくて、主流になっている走らせ方という意味で。そして、当時の僕は自分の走らせ方に対して明らかに誤解をしているようにも思います。「オイオイ当時の俺w」みたいな。何が間違っているのかは、近いうちに別だてで書いてみようと思います。モダンな走らせ方とは何か? という風に。期待しないで待っていてください。(2011年12月22日記)

2009年10月28日 (水)

再録・日々これ12分の1 第11回(Tバーの話)

 新車を買ってしまった――もちろん実車ではなく12分の1のこと。ボクはこの数年アソシエイテッド製のRC12Lシリーズをレースで使用してきたのだが、そのマシンのことは1年位前から気になっていた。当然アソシには愛着があり、また特に不満も感じていなかったので、マシンチェンジをするまでには至らなかったのだが、2001年を迎えるにあたって何か変化が欲しくなったので、この機会に新車を購入することにしたのだ。
 実はすでに、新車を使って12月に行われた地元のレースに出場している。この時はセッティングが万全でなかったためレース結果はイマイチに終わったが、マシンの潜在性能には確かな手ごたえを感じた。ということでトリニティ・スイッチブレード君、2001年はよろしく頼む。
 さて今回は、そのスイッチブレードにも付いているTバーの話。
 ダイレクトドライブ方式のRCカーでは、モーターとリヤドライブシャフトが直結される構造(だからダイレクトドライブと呼ぶのだが)のため、左右のリヤタイヤが独立して作動するサスペンションを装備することができない。つまりリヤに何らかのサスペンションを装備しようと思ったら、モーターを含んだリヤ駆動系丸ごとサスとして作動させる必要がある。
 1982年より以前の12分の1マシンは、前後ともにサスペンションを持っていなかった。その代りにメインシャシー自体を柔軟な材質(FRPなど)で作り、このシャシーがねじれることでサスペンション効果を得ていた。だがこの方法は、進化し続けるパワーユニットに対応するには荷が重く、当時は本格的なサスペンションカーの登場も時間の問題だろうと思われていたのだ。
 そんな時に登場してきたのがアソシRC12iだった。このマシンは路面からのショックやコーナーリング時のロールを吸収するための措置として、メインシャシーに大胆な切り込みを入れ、シャシーの柔軟性を大幅に向上させていたのが特徴で、事実、それまでのマシンに比べて路面追従性は格段に勝っていた。しかしそれでもサスカーと呼ぶには完全なものではなかった。
 この1982年の夏にはアメリカで第1回12分の1世界戦が開催され、モディファイドクラス(この大会ではストックとモディファイの2クラスあった)優勝マシンのデルタ社製12分の1・スーパーフェイザーのリヤには見慣れないT型形状のパーツが装着されていた。これが現在に繋がるTバーの初登場である。
 この時のTバーはメインシャシー上に2本のビスを介してマウントされてモーターマウントを保持し、モーターマウントとTバーの動きは小型のオイルダンパーで制御されるといった構造を採用しており、そのスタイルは現代の12分の1マシンとほぼ同一なもの。このスーパーフェイザーの登場により12分の1マシンの基本構成は決まったといって良く、事実スーパーフェイザーは各地のレースで大活躍を演じたのである。
 その後時代は進み、1986年、今度はTバーとシャシーのコネクト部にボールジョイントを採用したマシンが登場してきた。このボールサスの誕生により、Tバーによるサスペンションの動きはよりスムーズなものとなり、路面追従性はさらに向上したのだ。これで、12分の1マシンのTバー式リヤサスは完成したといえる。ちなみにTバー+ボールサスを採用したマシンの代表格が、この年の世界チャンピオンマシンにもなったアソシRC12Lである。
 FRPのプレートがサスアームとスプリングを兼用するTバー式サスはシンプルかつ高性能な非常に優れたサスペンション方式であるが、素材自体のシナリを利用する方式のため、どうしてもTバーの個体差によるセッティングのあいまいさが出てしまう。また使用するにしたがってTバー自身が材質疲労を起こしてしまうのも弱点だ。実際にボクの経験でも、特に悪い点が見当たらないのにマシンの動きがシャキッとしないケースで、Tバーを新品に変えた途端にマシンの動きが改善された、ということがある。
 こうした弱点を解消するため12分の1マシンの中にはTバーを持たないものも存在する。当コーナー第8回で紹介したスピードマーチャントRev.3もそうだし、ちょっと前には京商・インプレスR951なんてマシンもあった。これらのマシンはリンク式リヤサスを採用することでTバーを廃しているのだが、セッティングや作動にやや神経質な特性があり、Tバー方式に対して確実なアドバンテージがあるとはいえない。
 だいたい、プロテンマシンではリンク式リヤサスを採用しているトリニティでさえ、自社の12分の1レーサーにはTバーを使用していることが、このクラスにおけるTバー方式の優位性を物語っているといえるだろう。
 しかし、前号でも書いたように今後の12分の1は4セル規定が国際的な統一規格となるようなので、これから登場してくる4セルマシンには、Tバー方式を凌駕するリヤサスが採用される可能性もあるかもしれない……。ダレか考えませんか?

 この1~2年ですっかりリンク式サスに押されてしまっているTバーの話です。原稿を書いたのは00年の12月。Tバーというのは本当によくできたシステムで、そのために20年以上も使われてきたのだと思います。最近はレースの出走台数においてリンク式の方が優位にありますが、僕自身、サスペンションの性能という点では現在でもリンク式がTバーに比べてとくに優れているとは考えていません。加えてバッテリーのセンター搭載による、いわゆる“マスの集中化”についても、RCカーでは実車ほどの重要性はないような気がします。とはいえ、バッテリー取り扱いなどについては振り分けよりも4セルまとめる方が楽なのは間違いなく、さらに日本国内でも急速に勢力を拡大している1セルリポパック使用を考えると、今後Tバー車の生き残る余地が少なくなってきているとは思います。でも、1セルリポならタミヤの10分の1F1・F103みたいにシャシーとツライチになるTバーでもいけるワケで、ロールセンターやシャシー剛性の問題をうまく解決すれば、1セルリポをセンターに搭載してなおかつTバーを持つマシンが今後登場してくる可能性も考えられます。もっとも、そんなことにわざわざ挑戦するメーカーがあるとは思えないので、自作マニアに期待するしかないのかもしれませんが。(2009年10月28日・記)

Imgphp













今後の1セルリポ時代においてもTバー車が生き残るための一つの方法(写真提供・堀正宏氏)。ツーリングなんかコレに近いレイアウトで普通に走ってるんだから、多分これでもいいんだよなあ。

2009年9月11日 (金)

再録・日々これ12分の1 第10回(フロントサスの話)

 前回の当コーナー(雑誌掲載時)を読んだ友人から「20年以上もRCをやってて良く飽きないねえ? しかも12分の1ばっかりなのに」と言われた。確かにナゼ飽きないのかは自分でも分からない。モノ凄いペースで進化するEPツーリングなどに比べて、12分の1マシンの見た目はここ10年以上ほとんど変わっていないし、レース場に現れる仲間の顔ぶれも一緒だ。でも、飽きてない以上、今後も12のレースは続けていくのだ。
 さて今回は、その変わらない12の中では比較的新しいテクノロジーであるフロントサスの話。
 12分の1マシンのフロントサスは大別して2タイプあるが、まずはアソシエイテッドやトリニティなどのマシンに採用されている変形ダブルウイッシュボーン・タイプから。
 現在12分の1マシンの主流となっている、このタイプのサスが登場したのが1992年、比較的新しいといっても8年も前(2000年時)のことだ。確かトリニティとアソシのプロテンで、ほぼ同時期に採用されたハズ。
 その形式とは、ロアアームを固定し、アッパーアームとナックルのみが路面のギャップやマシンのピッチ&ロールに合わせてストロークするもの。この時のショックはキングピン下部のスプリングで吸収することになる。つまり、ロアアームはスプリングのステーも兼ねているというワケ。このタイプはサスの作動に伴い対車体キャンバー角が変化、さらにアッパーアームの前後方向に迎角を設定することで、可変キャスター機能を持たせることも可能なのだ。しかも操縦性に影響の大きいスカッフ(トレッド)変化はほとんど起きないのが特徴のひとつ。
 実はこのサス、先ほどは変形ダブルウイッシュボーンと書いたが、構造的には実車のストラット型サスに近く、欧米ではそのように表記しているケースもある(こうしたサス形式の違いを知りたいヒトは実車の解説書などを参考にしてほしい)。
 さらにINDサスと書いている場合もあるが、これはINDEPENDENTの略で、訳すと「独立した」ということ。この呼び方はリジット方式のリヤサスに対比したもので、単に独立というだけならキングピンコイル式サス(タミヤ・F103のノーマルタイプに採用されているアレね)も、左右で独立はしているのであまり適切ではないと思う。
 この変形ストラット(結局そう呼ぶことにした)サスは、荷重の軽い2駆のDD車だからこそ成立するサス形式といえるが、その作動の確かさとセッティング幅の広さから、今後も当分の間は12分の1フロントサスの主流でありつづけるだろう。
 これに対して強烈に個性的なのが、現在ではコラリーのみが採用するビームアクスルだ。一体型ハの字形状のサスアーム(ビーム)の後端にナックルアームを装着し、サスの支点は前端部のボールジョイント。つまりサスの作動に伴ってキャスター角が起きてくるというシステムだ。
 左右を連結したフルトレーリングアームともいうべきこのサス、何が凄いといってロール方向の動きをほとんど考慮にいれてないのだ。もちろん、ビーム自体とメインシャシーのシナリによってロール方向にサスは動くのだが、それも前出の変形ストラットに比べれば微々たるもの。要するに、限りなく剛性の高いスタビライザーを装備しているのと同じ効果を得ているというワケ。
 ビームアクスルの歴史は意外と古く、1985年頃のシューマッハ製12分の1マシン(この当時は12も作ってた)「Cカー」に採用されたのが、ボクの記憶する限りは最初のこと。このCカーでは、より一般的なスイングアーム(ヨコモ製プロテン・YRXシリーズなどに採用)と、ビームのどちらかをチョイスできるようになっていたが、主流はスイングアームの方だったと思う。 その後はシューマッハ社が12分の1マシンの生産を中止したこともあり、ビームアクスルは消滅したものと思っていたが、1992年に登場したコラリーSP12Gのサスとして復活した時はビックリした。
 このビームサスはノンロールシステムなので、サス作動時の対地キャンバー変化はゼロ。そのため、フラットで十分なグリップが確保されている路面上では抜群の効果を見せてくれる。実際、カーペットコースなどでバッチリとセッティングの決まったコラリーを走らせた時の速さは圧巻そのもの。走らせていてこれほど面白いマシンもそうはないだろう。ただし、グリップの悪いコースやギャップの多い路面では神経質な動きを見せるのも事実。この辺りにビームアクスルが主流となりきれない理由があるのだ。
 始めにも書いた通り、12分の1マシンの見た目はここ10年近くまったく変わっていない。これは国際的な車体レギュレーションが20年近くほとんど変更されていないため。しかし、2000年から採用された4セル規定により、今後登場してくるマシンのスタイルには変化が現れるかもしれない。そうなるとさらに面白いんだけど……。

 00年当時のフロントサス事情について書いていますが、ビームサスを採用していたコラリーも、その後はスイングアームへと移行し、さらには06年からアソシ製ストラットを使用するようになっていったので、現在の12分の1マシンのほとんどは、ここで延べた変形ストラットをフロントサスに採用しています。つまり、フロントサスの形式は8年の時を経て一つに収束してしまったわけです。12分の1マシンがひたすら速さを追求するカテゴリーである以上、クルマのカタチが収斂してしまうのは仕方ないことではありますが、身勝手なマニアの一人としては、もう少しバリエーションがあってもいいんじゃないかとは思います。この記事を書いたのは世界的に4セル規定へとシフトする時期で、それに伴ってクルマのスタイルが変化するのではないかと思っていましたが、現在は再びバッテリーの移行期にあり、来年の世界戦からは1セルリポ規定が採用されそうな見通しです。こうなるとバッテリーを1個所に集中して搭載するリンク式リヤサスのクルマ一色になりそうな予感がするのですが、重量が700g台になることによるイノベーションは起こるのでしょうか? いや、起こってほしいとちょっと期待。(2009年9月11日記)

2009年6月11日 (木)

再録・日々これ12分の1 第9回(00年全日本の話)

 ボクがRCを始めたのが1978年だから、RC歴は22年(2000年時点)ということになる。こんなに長くやっているのになかなかウマくならない。その証拠にレース成績も常にイマイチだ。もっとも、22~26歳の頃はほとんどやってなかったのでドライバーとして一番オイシイ時期を逃してしまったのかもしれないが。
 そんなボクの後悔レース歴(そんなモノないほうが良いけど)にまたひとつ新たなレースが加わった……。
 今回は2000年JMRCA12分の1全日本選手権の話。
 今年の大会は千葉県市原市にあるケイチューン・レーシングスピードウェイ(KRS)で10月7~9日にかけて開催された。世界戦が終わってすぐにホビーショーがあり、後はズーッと仕事で気が付くと全日本1週間前。そこで世界戦用4セルマシンを急いで6セル仕様に組み替えてケイチューンに練習に行ったが、この日は午前中が雨。午後には走れるようになったものの、結局満足に走れずに終了となった。
 そして、なし崩し的に全日本ウイークに突入、今回は大会2日前の5日から現地入りすることにした。
 5&6日はテスト&練習に当てたかったのだが、5日も午前中は雨であまり走れず終了。6日は好天だったが、もうひとつ納得いく結果が得られずに本番を迎えることになった。
 今回のセッティングのポイントはタイヤだ。本来、GPカー用コースであるKRSの路面は12分の1にはやや粗く、スポンジ質の多いリヤタイヤでは非常に磨耗が速い。ひどい時にはバッテリー1パックで2㎜以上減ってしまうのだ。そこでJACO、またはTRCのピンクやヨコモのLラバーなどを使用することになる。これらのタイヤは8分間安定したグリップ力を発揮してくれるのだが、コーナーリング開始時の滑り出しがやや唐突なのでドライビングに注意が必要となる。また、事前に多くのピンクを用意することができず、手持ちのピンクは本番用の2セットのみ。そこで練習はLラバーだけで行っていた。後で考えるとコレが良くなかったのかも知れない。
 またニッカドバッテリーの使用が義務付けられる全日本では、世界戦で使ったニッケル水素3000が使えないためRC2400を数パック購入した。これだけでは足りないので残りはHPI(当時)のH様から拝借(いつもお世話になります)することにした。
 そして始まった2000全日本。初日は快晴に恵まれたが、大会運営用パソコンのトラブルでこの日の予選1回めはキャンセル。練習走行とコントロールド・プラクティスのみが行われた。ここでは38位のタイムを記録したが、自分の走りには納得がいかないまま初日を終えたのだった。この晩、ホテルで全日本のレポートを担当するスマイリー荒川(RCマガジン)と合流、翌日の予選取材の打ち合わせを簡単にして早めに床についた。
 大会2日めは予選が全部で3ラウンド行われる。最終日にも予選最終ラウンドが予定されているが、翌日の天気予報は雨。2日めの予選結果だけで総合順位が決定されてしまう可能性が大きい。
 予選第1ラウンド。スタートと同時に「しまった!」と心の中で思った。モーターが遅いのだ。実はここでは練習で使っていたのとは違うモーターをチョイスしたのだがこれがハズレ。このレースはほぼノーミスで走り切ったがタイムは良くない。下で見ていたスマイリーにも「スピード遅いよー。」といわれる。この時点でボクの順位は40番台だった。
 第2ラウンド。今度は練習の時と同じモーターなのでスピードはそこそこ。しかし、前を走るペースの遅いマシンを交わそうとした際にミスしてパイロンに乗り上げ、タイヤを痛めてしまった。これが原因でその後のペースは上がらずに、このラウンドでは自己タイム更新できずに50番台に後退。
 第3ラウンド、もう後がない。最近のレースはこんな展開ばっかり。リヤタイヤはJACOピンクをチョイスした。このピンクはLラバーより速いタイムが出そうなのだが、ドライブはややシビアになる。しかし年に1回の全日本なんだから、少々ムズかしくてもタイムが出るセットを優先するのは当然で、後はボク自身の問題だ。
 レースがスタート。最初から飛ばす作戦で、各コーナーを攻めながらクリアして行く。そうして差しかかった1周めの最終コーナー、「なんか思ったよりも曲がるなあ」という思いが脳裏を過った瞬間、パイロンにまたしても乗り上げてしまいクラッシュしてしまったのだ! これで数秒以上ロスして、タイム更新の望みはなくなった。
 こうして2日めも終了。この夜もホテルでマシンを整備しておいたのだが、予報どおり3日めは降雨により完全にキャンセル。ボクの順位は総合61位で確定した。
 来年こそ結果を残すぞ……。

 00年の全日本について書いていますが、この年9月の世界戦から始まったダメスパイラルは見事に続いていました。関東2次予選2位のうさを晴らすどころか、予想以上の下位に終わっています。いや、自分が全日本で上位に入れる選手じゃないことぐらいは分かっていますが、せめて実力はすべて出し切りたいじゃない。いや、だからクルマのセッティングを含めてすべて実力だってのも理解していますが……。レース会場となったケイチューンは、残念ながらこの当時はあまり12分の1向きのコースとはいえませんでした。しかし、その後グリップ剤の散布などによって路面の質が変わり、2005年の12分の1全日本選手権関東1次予選でここを走ったときにはすごく楽しいコースになっていました。最近はケイチューンで12分の1レースがないのが残念ですが、機会があればまたここで12分の1を走らせてみたいと思っています。またケイチューンで全日本やらないかなあ…? (2009年6月11日記)

2009年2月28日 (土)

再録・日々これ12分の1 第8回(「速さの商人」の話)

※お断り。 今回の記事は写真がないとその内容が分かりにくいことと思います。しかし、著作権などの理由もあって人物写真は掲載できません。申し訳ありませんが、そのあたりは脳内補完しながらお読みください。

 00年9月のEPオンロード世界戦が無事終了した(無事か?)。ボク自身の世界戦についてはあまり思い出したくないのだが……。
 今回の当コーナーは、レース内容と直接関係はなく、その12分の1世界戦で見つけた「速さの商人」の話をしたい。
 速さの商人といっても、このページの右下に載ってるオッサン(※未掲載)のことではない。オッサンが持っている12分の1マシンのことなのだ。
 このマシン、名前を「スピードマーチャントRev.3」というアメリカ製の12分の1レーサーで、ボクの知ってる限りでは今世界戦が日本初上陸となる。このスピードマーチャントを日本語に直訳すると、「速さの商人」というわけ。スピードマーチャントというブランドは、本国アメリカではそこそこメジャーなようで、全米選手権などでとくに中級者対象クラスのリザルトで見かけることが多い。
Rev3_2  ボクもインターネット上でこのマシンの存在を知っていたのだが、ホンモノを見るのは今回が始めて。所有者のスコット氏と仲良くなったこともあって撮影させてもらった(ここの写真はそのときのものではなく、スピードマーチャントのウェブサイトから引用)。
 このRev.3(レブスリー)は、最初から4セルバッテリー搭載を前提に設計されているのが特徴で、4本のバッテリーをシャシー中心線上に集中させて搭載している。このレイアウトでは通常の12分の1レーサーのようにTバーを装着することが不可能なので、リヤサスペンションにはトリニティのプロテンなどと同様のセンターボール+パラレルリンク形式を採用しているのもユニーク。フロントサスペンションにはアソシ製を使用しているが、全体的なイメージはまったくのオリジナルマシンといえるだろう。
 Rev.3は重心位置の設定などから見てもカーペット路面での走行を強く意識しており、急きょアスファルトに変更された今回の世界戦では苦戦していたもよう。ボク個人としても、このマシンの本当のポテンシャルを見ることができず残念だった。
 Rev3の所有者、スコット・トマッセロ氏はリーディ・レースの開催などで有名なリポン・スピードウェイの経営者のひとりでもあり、今回の世界戦には選手として参戦していた。また、年齢を聞いてみると何と29歳とのこと。本文冒頭でオッサンなどと書いてしまったが、実はボクより若いことが判明。7歳の娘さんがいるっていうから、てっきりボクより年上だと思ったのに……。うーん、西洋人の年齢はワカラン。
 さてこのスコット氏、ボクもさんざん苦労した12分の1世界戦のレイアウトと路面に関してこんなコメントを残していった。「われわれ(参加選手全員のこと)は選手同士で選手権を競っているのであって、コースと戦いに来ているのではない。いくら世界選手権だからといって、ここまでコースを難しくする必要があったのだろうか? さらに、自分が周回遅れになる際に、コースを譲っただけでタイヤにホコリが付いて走行が困難になるようなコンディションは、正直いって好ましくない」
 世界トップレベルのドライバーが参加する世界選手権だからこそコースを難しくする、という考えもけっして間違ってはいないと思うが、一方でこうした意見もあったのは興味深いし、これがBIGレースをオーガナイズしているコースオーナーの意見ということも傾聴に値するのではないだろうか? ただ、ボクの世界戦はコースレイアウトをうんぬんする以前に終わっていたのだが……。
 今世界戦では初めてスピードマーチャントの実車を見ることができた。これがボクにとって今回最大の収穫だった、というのは情けない限りではある。
 さあ、全日本こそがんばるぞ!

※00年9月の12分の1世界戦終了後に執筆。このレースではクルマがまったく走らず、さんざんな結果に終わりました。今ならば走らなかった原因も分かるのだが、レースをやっている最中というのは得てして視野狭窄状態に陥っているし、とりわけダメスパイラルにハマってしまった場合にはほとんど抜け出すことができないのですよ。
 それでも収穫はいくつかあり、とくにスコットの「われわれはコースと戦っているのではない」という発言は今でも折に触れて思い出します。これは自動車レースに限らず、ゴルフや陸上競技、もっと広げればスポーツ全般(野球でも球場との相性はあるみたいだし)に言えることですが、相手と戦うと同時にその会場(サーキット)をも攻略しなければならないのは、面白みであると同時に難しさをもたらしてしまいます。まあ、自分がサーキットをうまく走れなくても、競争相手がより悪い状況ならば勝ててしまうわけであって、その状態でも勝てればうれしい人と、納得できない人がいるわけで……。ちなみに僕は、自己ベストより大幅に悪い状態であっても、相手に勝てればけっこう満足しちゃうタイプです。反対に、レースで優勝しても自身が納得いく走りができなければ機嫌の悪い人もいます。僕は自分のような勝負重視型を「ファイタータイプ」、自身の絶対的な速さを求める人を「求道者タイプ」だと思っています。おお、ここでもやっぱり分類してるわ。個人的見解ですが、日本人のラジコンレーサーには求道者タイプが多く、欧米人にはファイタータイプが多いような気がします。この辺についてはいずれ改めて書いてみたいと思います。
 そういえば、取材時にスコットが「僕が載った記事を読みたい」というので、完成した雑誌と、記事内容を翻訳したものを彼に送りましたが、「オッサン~」のくだりのところは訳さずに送ったことは今でも内緒にしています。彼が「いい記事を書いてくれてありがとう」と言ってきたときにはさすがにちょっと心が痛みました。
 ところで、00年世界戦当時にスコットに「何でスピードマーチャント使っているの?」と聞いたら、「ビジネスがしやすいから」と答えてくれたのですが、その後同社製品を個人輸入しようとした友人がひどい目に会ったため、スピードマーチャント社のビジネスに対する姿勢には疑問を持たざるを得ません。(2009年2月28日記)

2009年1月24日 (土)

再録・日々これ12分の1 第7回(世界戦直前、みたび4セルの話)

 最近、チーム京商の若手レーサー伊藤拓也君に身長で抜かれた。ついこの間までボクの半分位(大ゲサ)の大きさだったのにもうこのザマだ。伊藤君は現在中学3年生なので、まだまだ大きくなるだろう。しかしレースでは、年長者としての意地もあるのでそう簡単に抜かれるワケには行かない。とはいえ、去年から彼に勝った記憶がないのだが……。
 その伊藤君も出場するEPカーの世界選手権がいよいよ始まる。今回はプロテン、12分の1、そしてツーリングの3カテゴリーが開催されるが、ボクも出場する12分の1は、00年9月11日から3日間にわたって行われる。
 以前にも書いたが、今回の12分の1世界戦は初めて4セル規定で行われる。日本ではあまりなじみのないこの4セル規定とは、サブCサイズと呼ばれるRC用バッテリーを4本のみ使用。つまり、通常の6本使用(7.2V)に比べて電圧が3分の2の4.8V電源を動力にするというもの。当然、出力は大幅に低下することになる。しかも今世界戦では、マシンの最低重量規定が6セルと同じ880gになっているのだ! 
 最初にこの規定を目にしたときに、何かの間違いではないかと思い、世界戦の統括団体であるIFMAR(国際モデルオートレーシング連盟)に問い合わせたところ「880gで正しい」との返事をもらった。どういう意図でこんなルールになったのかは不明だが、出力が下がり、なおかつ重量がそのままでは、マシンのスピードが下がるのは必至だ。
 ということで880gの4セルカーでテストを行ってみた。コースは毎度おなじみ群馬県のクレストスピードウェイ、バッテリーはパナソニック3000で、モーターは10ターンの組み合わせだ。走行前は「かなり遅いだろうな」と思っていたのだが、意外とそれほど遅くはなかった。もちろん、6セルカーより速いということはないが、結構イケそうな予感がした。そこでモーターや指数をあれこれテストし、最終的には6セルカー(バッテリーはニッカドRC2000)の8分間トータル記録とほとんど同じタイムを出すことができたのだ。
 ただし、4セルと6セルではドライビングがかなり異なる。4セルの場合、どうしてもマシンの加速力が弱くなるので、スピードを落としてしまうとそこから本来のスピードに戻すのに時間がかかってしまう。そのためコーナーでは、なるべくマシンを失速させないようスムーズなドライビングをこころがける必要がある。その点6セルカーでは、多少コーナーのアプローチに失敗しても、ブレーキングとアクセル操作によりゴマカシが効くのだ。また、3000バッテリーが使えるとはいえ880gの4セルカーは燃費面がキツい。このため、モーターのセッティングにも6セル以上のシビアさが求められることになる。
 こうしてさまざまな試行錯誤の末、何とか走るようになった4セルカーを世界戦会場の谷田部アリーナで走らせてみることにした。
 当初の予定では、今年の12世界戦は特設カーペットコースで行われることになっていた。しかし、大会1か月前に室内アスファルトコースに変更となってしまったのだ。あのデカいコースを4セルで走るとなると、かなり苦労させられそうで、走る前から憂鬱になってしまったが「決まったものは仕方ない」とハラをくくって、3000×6セルのツーリングカーが走りまわる中、いざ出陣とあいなった(表現が古い)。
 最初はおっかなビックリ走り出したが、ペースが整ってくると意外や意外、ツーリングカーよりほんの僅かだが速いのだ。しかもそのツーリングカーも、世界戦出場選手たちが練習していることもあって十分に速く、ストレートでは8ターン・モーターが唸りをあげて回っている。直線スピード自体はツーリングカーの方が速いが、コーナーの連続するインフィールド区間では12分の1方が完全に速い。こうしてトータルのラップタイムでは、僅かに12が上回る結果となった。車重の軽さとスポンジタイヤ恐るべし、である。
 走行時間も、抵抗の重いカーペット路面のクレストに比べれば楽で、とりあえず8分間の走行は可能。後はどこまでスピードを伸ばせるかだ。
 世界戦で使用するバッテリーは、現時点での選択肢はパナソニック3000とサンヨーRC3000の2タイプ。これらのバッテリーは共にニッケル水素バッテリーなのだが、その出力特性が異なる。パナソニックはどちらかというと容量重視タイプでマイルドな出力特性。反対にサンヨーは高出力だが、若干走行時間が短くなる。これらのバッテリーをクレストで比較した結果、ほとんど同じ周回数+タイムとなった。このため、バッテリー選択はムズかしくなってしまった。おそらく大会直前まで悩むことになるだろう。
 ボク自身2度めの挑戦となる12分の1世界選手権。観光がてら出場した前回の98年イギリス大会では、散々な結果に終わり結局クヤしい思いをしたので、今年はできる限り体制&体調を整えて完全燃焼したいものだ。でも、その3週間後には全日本選手権が……。

※執筆は00年8月。この年の9月に行われる世界戦への仕上がり具合について書いています。当初の話ではカーペットコースということだったので、そのつもりで準備していたのだけど、急にアスファルトになるっていうんだもんなあ。仕方ないから気を取り直してアスファルト用の練習に行きました。
 しかし、路面よりも問題だったのが880gという重量規定。当時のクルマは、受信機用50mAhニッカドバッテリーを搭載しても840g程度には納まってしまったから、どこにバラストを装着するかけっこう悩みました。この880gは、それまでの6セルから4セルに規定を変更する際に、併せて重量も軽くしなくてはならないのをウッカリ忘れた。というのが真相だとの噂を聞いたのですが、後にほかの世界選手権参加&取材をした経験から考えると十分にあり得る話です。その程度にはいい加減だな、と。結局この880g規定は、02年の世界戦南アフリカ大会の会場で突然840gに変更されるまでそのままでした。
 また、走らせ方についてはその後にだいぶ変化しました。現在ではニッケル水素バッテリーのパワーと容量が大きくなったことと、高効率なブラシレスモーターの普及もあり、4セルであってもこのとき書いた6セルカーの走らせ方に近くなっています。とくにクレストではよりストップ&ゴー的な走りになりました。パワーが十分にあるのでなるべく直線的に走るというか。
 最初の方で話題にしている伊藤君は、まさにこのときの世界選手権で大ブレーク。プロテン&12分の1クラスでAメイン入りと大活躍し、完全にトップドライバーの一員となりました。現在では立派な青年になっていますが、このころからの礼儀正しさなどは世界的な選手になっても変わっていません。“もちろん”この年から現在まで彼に勝ったことは1回もありません(泣)。(2009年1月24日記)

カテゴリー

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30